北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 13』
文中敬称略
『シティーハンター』の続編(作者北条司は、香の死を確定事項としないため、あくまでパラレルワールドと主張する)とも言うべき『エンジェル・ハート』2nd シーズン 13の冒頭を飾るのは、冴羽獠と香瑩、牧村香を結ぶ一つの料理の話だ。獠が腹ペコの香瑩に初めてふるまった手作りの料理は、香が獠のために作った手作りの料理でもあった。だが、猛然とした勢いで食べていた香瑩が突如怒り出したその理由とは?
本編は喋るカラスを操る少女と銀行強盗の話である。新宿近辺で、人のプライバシーを暴くカラスが出没する。被害に遭ったのは、何かの悪事をはたらいていた人間だが、獠のキャバクラのツケさえも暴かれてしまう。獠と香瑩が突き止めたのは、マンションのペントハウスに住む一人の少女まなだった。彼女には、両親を強盗によって失うという悲しい過去があった。
何十羽ものカラスに付けた隠しカメラを操作することで、親の仇を突き止めたまな。
だが、恐るべき敵は、捜査員さえ殺してしまう非情の男であり、まなにも魔の手が迫る。その時、獠と香瑩は?
このところ、家族や恋人、友人間の壊れた絆を修復したり、「いい話」続きで、『シティハンター』本来のハードボイルド路線からは遠く離れてしまった『エンジェル・ハート』だが、久々に悪との対決が復活する。獠と香瑩は、手ごわい敵を捕え、まなを守りきることができるのか?