新刊コミック案内

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和夏弘雨・碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 5』

碧海景原案、和夏弘雨漫画による『火葬場のない町に鐘が鳴る時』は、山奥の町を舞台にしたホラー漫画。5巻はそれまで隠されてきた謎が次々に明らかになる重要な巻です。


 【4巻までのあらすじ】

10年ぶりに郷里の三途洲町(みとずちょう)に帰った卯月勇人(うづきゆうと)は、幼なじみの豊橋咲やドラゴンこと山神龍児と再会する。しかし、いつの間にか三途洲町(みとずちょう)は、夕方6時を過ぎると冥奴様と呼ばれるゾンビが徘徊する不気味な町に変わっていた。

行方不明になった父親を捜して夜の町に出た勇人と龍児だが、冥奴との戦いの中で龍児は怪我を負う。かくまってくれた女性ゴン子の元に龍児を残し、勇人は手掛かりがありそうな三途龍寺へ向けて進むのだった。そこで出会ったのが、ごん子のおじである冬雨静孝(とうざめしずたか)だった。冥奴と戦う中で、彼より様々な情報を得て、冬雨と別れた勇人。三途龍寺はすぐ目の前だった。

 
【5巻のガイドライン】 

5巻もすべて夜のシーンである。寺にたどりついた勇人の前に現れたのは仮面の人物。勇人や友人たちの名前を知っているこの人は何者なのか。そして、ようやく再会した父親はいきなり勇人に襲いかかり、彼をなきものにしようとする。一体、父親に何が起こったのか?そして、ついに明かされる冥途様と勇人の驚愕の真実とは?


この原作者は、かなりスティーブン・キングが好きなようで、原案自体がキングの『ペットセマタリー』や『IT』に影響を受けているように思われます。5巻では一瞬『シャイニング』ぽい展開も。それにしても、秘密というと『進撃の巨人』同様、父親と息子の歪な関係がからんできて、息子は敵の能力を取り込んだ人間であるがゆえに、敵に対する最大のカウンターとなりうるという設定は、『新世紀エヴァンゲリオン』以来の定番となっているようです。町全体がリアルなお化け屋敷という荒唐無稽な設定で、エンドレスに戦いは続きますが、夏場にはちょうどよい怖くて楽しいホラー漫画です。