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新刊コミック案内

鉄板の人気コミック、知る人ぞ知るディープなコミックの新刊を、3分で読めるシンプルな文章で紹介します

和夏弘雨・碧海景『火葬場のない町に鐘が鳴る時 5』

碧海景原案、和夏弘雨漫画による『火葬場のない町に鐘が鳴る時』は、山奥の町を舞台にしたホラー漫画。5巻はそれまで隠されてきた謎が次々に明らかになる重要な巻です。


 【4巻までのあらすじ】

10年ぶりに郷里の三途洲町(みとずちょう)に帰った卯月勇人(うづきゆうと)は、幼なじみの豊橋咲やドラゴンこと山神龍児と再会する。しかし、いつの間にか三途洲町(みとずちょう)は、夕方6時を過ぎると冥奴様と呼ばれるゾンビが徘徊する不気味な町に変わっていた。

行方不明になった父親を捜して夜の町に出た勇人と龍児だが、冥奴との戦いの中で龍児は怪我を負う。かくまってくれた女性ゴン子の元に龍児を残し、勇人は手掛かりがありそうな三途龍寺へ向けて進むのだった。そこで出会ったのが、ごん子のおじである冬雨静孝(とうざめしずたか)だった。冥奴と戦う中で、彼より様々な情報を得て、冬雨と別れた勇人。三途龍寺はすぐ目の前だった。

 
【5巻のガイドライン】 

5巻もすべて夜のシーンである。寺にたどりついた勇人の前に現れたのは仮面の人物。勇人や友人たちの名前を知っているこの人は何者なのか。そして、ようやく再会した父親はいきなり勇人に襲いかかり、彼をなきものにしようとする。一体、父親に何が起こったのか?そして、ついに明かされる冥途様と勇人の驚愕の真実とは?


この原作者は、かなりスティーブン・キングが好きなようで、原案自体がキングの『ペットセマタリー』や『IT』に影響を受けているように思われます。5巻では一瞬『シャイニング』ぽい展開も。それにしても、秘密というと『進撃の巨人』同様、父親と息子の歪な関係がからんできて、息子は敵の能力を取り込んだ人間であるがゆえに、敵に対する最大のカウンターとなりうるという設定は、『新世紀エヴァンゲリオン』以来の定番となっているようです。町全体がリアルなお化け屋敷という荒唐無稽な設定で、エンドレスに戦いは続きますが、夏場にはちょうどよい怖くて楽しいホラー漫画です。

小山宙哉『宇宙兄弟 28』

 

南波六太の月面でのミッションと佳境に入った小山宙哉『宇宙兄弟 28』

ネット上で炎上、バッシングの対象となった伊東せりかのISSでの実験も成功裏に終わり、舞台は月の裏面での六太たちジョーカーズの活動へと移る。

彼らのミッションは、シャロン天文台をつくるために、LUNA・Sから月面に投下した12本のパラソルアンテナを正常に作動させることだった。実はそのうち、4本しかまだ正常に作動していないのだった。倒れて故障したのか、岩の割れ目に落ちたのか、地面深く埋もれてしまったのか、六太はシャロンとの約束を胸に、ジョーカーズのメンバー、ロボットの ブギ―とともに落下予想地点と向かうのだった。彼らがそこで目にしたのは…

リアル路線をとる『宇宙兄弟』は、『スターウォーズ』や『スタートレック』のような、宇宙人との対決といった派手な活劇で読者を引きつけることはできない。あるのはミッション遂行時に予想される様々なトラブルとその克服の繰り返しであり、宇宙の極限状態に置かれた飛行士たちの心の動き、そして地上の人々との絆や軋轢、葛藤といった心理ドラマが主体になる。

そんな中でも、この28巻は読者にまだ月には知られざる美しい風景が存在するのだと暗示するレゴリスのシーンはひときわ印象的である。

六太は月に達したが、弟南波日々人は今?28巻は、宇宙船上に残された二人のわずかな絆を垣間見せるだけである。

北条司『エンジェル・ハート 2ndシーズン 13』

文中敬称略

『シティーハンター』の続編(作者北条司は、香の死を確定事項としないため、あくまでパラレルワールドと主張する)とも言うべき『エンジェル・ハート』2nd シーズン 13の冒頭を飾るのは、冴羽香瑩牧村香を結ぶ一つの料理の話だ。獠が腹ペコの香瑩に初めてふるまった手作りの料理は、香が獠のために作った手作りの料理でもあった。だが、猛然とした勢いで食べていた香瑩が突如怒り出したその理由とは?

本編は喋るカラスを操る少女と銀行強盗の話である。新宿近辺で、人のプライバシーを暴くカラスが出没する。被害に遭ったのは、何かの悪事をはたらいていた人間だが、獠のキャバクラのツケさえも暴かれてしまう。獠と香瑩が突き止めたのは、マンションのペントハウスに住む一人の少女まなだった。彼女には、両親を強盗によって失うという悲しい過去があった。

何十羽ものカラスに付けた隠しカメラを操作することで、親の仇を突き止めたまな。


だが、恐るべき敵は、捜査員さえ殺してしまう非情の男であり、まなにも魔の手が迫る。その時、獠と香瑩は?


このところ、家族や恋人、友人間の壊れた絆を修復したり、「いい話」続きで、『シティハンター』本来のハードボイルド路線からは遠く離れてしまった『エンジェル・ハート』だが、久々に悪との対決が復活する。獠と香瑩は、手ごわい敵を捕え、まなを守りきることができるのか?

大場つぐみ×小畑健『プラチナエンド 1』

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『デスノート』『バクマン。』大場つぐみ小畑健のゴールデンコンビが久々に組んで送る新作『プラチナエンド』は、『バクマン。』の作中作の『REVERSI』を思わせる天使の登場するバトル物のファンタジーだ。

 

あらすじ

架橋明日(かけはし みらい)は、中学の卒業式のその日に、「幸せになりたかった」という言葉を残し、ビルの屋上から飛び降りて自殺する…自殺したはずだった。だが、彼の自殺は中断され、ナッセという天使が彼の前に現れる。そして、彼に<自由>の翼と<愛>の矢を与えることで幸せにするという。

だがいったん受け取ると死なない限り拒絶できないその力は、次の神を選ぶ競争への参加を同時に意味した。13羽の天使によって選ばれたのは明日を含めて13人の人間。与えられた翼は、自由に空を飛び回ることができ、赤の矢は相手を自分に好きにさせ自在にコントロールする力を持つが、白の矢を放つとたちどころに相手を殺してしまう。

そして、たちまちのうちに、13人のうちの一人が別の一人の白の矢によって消されてしまう。これは、神候補同士がひたすら殺し合うバトルロワイアルなのだろうか。

高校に入学した明日が、入学式の日に目にした天使のついた相手は、何と彼の好きな少女だった。そして、少女は明日に対して驚愕の行動に出る。それは…

 

天使の力を与えられて、欲望の限りを尽くす者、正義の味方を名乗り悪を退治する者。その力によって同時に恐るべき人間の性が引き出されるが、それが同じ高校という狭い世界を舞台とすることで、恋の要素がからみ合う。そして、最後に殺し合いの末一人が残るのか、それとも善や愛の要素がからんで別の物語をたどるのかは、まだ誰にもわからない。この予測不可能な展開ゆえに、『プラチナエンド』は、『デスノート』同様、読み出したら止められない中毒性のコミックになりそうである。

 

板垣恵介『刃牙道 9』

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刃牙道 9

【8巻までのあらすじ】

『刃牙道』は地下格闘技場の少年王者範馬刃牙を主人公とした『グラップラー刃牙』『刃牙』『範馬刃牙』に続くバキシリーズの最新作。「地上最強の生物」範馬勇次郎との戦いを終えた刃牙たち格闘家は退屈しきっていたところに、驚天動地のニュースが飛び込んできた。ご老公こと徳川光成が、大枚を投じたクローンの実験によって、宮本武蔵を現代によみがえらせたというのである。よみがえった武蔵の強さは本物だった。二度にわたり刃牙を粉砕しただけでなく、武神愚地独歩をも完膚なきまでにうちのめし、さらに地下格闘技場での火器以外の武器使用全開の戦いでは、中国拳法を極めた後、世界のボクシング界の頂点に立った烈海王をその太刀で葬ってしまう。武蔵確保の名目で徳川邸を訪れた警視総監は、釈放の交換条件として、道場である男との対戦を武蔵に求めるのだった。

【9巻のアウトライン】

ある男とは、全日本選手権四連覇の覇者三輪武丈だった。竹刀による剣道は、日本刀による戦いでは及びもつかないほど高速に進化していると豪語する三輪、そう、二人の対戦はあくまで竹刀によるものなのだ。目の前の武蔵を「竹刀の素人」と決めつける三輪の運命はいかに?

さらに後ろに待ち構えるのは合気道の達人、渋川剛気だった。へらへらと軽口を叩きながら友好的なふりをして握手した武蔵を手一つでひざまずかせる技の力を見せた渋川は、心深く烈海王の復讐を狙っているのであった。その対戦の行方は?

そしてもう一人、武蔵との対戦を待ち焦がれているのが、範馬勇次郎その人だった。

しかし、昔の武術を知り尽くしている柔術家本部以蔵は、現代の格闘家たちを守ると豪語する。その一言は勇次郎を激怒させるに十分だった。あわれ本部の運命は?


いよいよ、文字通りの最強対決、範馬勇次郎 vs 宮本武蔵の戦いの火ぶたが切って落とされる。