新刊コミック案内

鉄板の人気コミック、知る人ぞ知るディープなコミックの新刊を、3分で読めるシンプルな文章で紹介します

板垣恵介『刃牙道 11』

板垣恵介『刃牙道』とは、要するに、それまでの刃牙シリーズでいったん出来上がってしまった、格闘技界の序列(ヒエラルキー)をいったんシャッフルし、再度新たな基準でそのつ強弱をつけ直すという試みである。その中心となるのが、クローン技術によって、現代に蘇った宮本武蔵というわけだ。

 

宮本武蔵は、素手の対決においても、地下闘技場の若きチャンピオン範馬刃牙を二度にわたって退け、神心会空手の総帥愚地独歩を完膚なきまでに打ち破り、そして武器使用での戦いでも中国拳法の雄烈海王を葬り去った。そして、現代の頂点に立つ範馬勇次郎との戦いのクライマックス、武蔵の秘技「無刀」がまさに炸裂せんとするその時に、間に割って入ったのが本部流柔術の本部以蔵だった。彼は、武士の時代の武芸百般に通じ、それに対する知識のない現代の格闘家たちを自分が守るのだと豪語する。

それまで、武器を用いない戦いでは精彩がなく、負け犬キャラの烙印を押されてきた本部だが、いったん武器使用を行えば豹変、刀だけでなく、手裏剣や縄、鎖鎌、爆薬に至るまであらゆる武器使用に長けて、道場での戦いではガイアを子供扱いしてしまう。

そして、本部が次の標的としたのが、外科手術とドーピングで2メートル40センチまでサイズアップした範馬の血をひくモンスター、ジャック・ハンマーだった。

夜の公園で、何でもありの戦いが展開する。本部はジャックの驚異的な力を封じ、武蔵から彼を守りきることができるだろうか。

というわけで、範馬勇次郎と宮本武蔵を酒場で語らせたり、ガイアと道場で対戦させて、本部の隠れた強さを強調する作者板垣恵介、ジャックが終ればさらに巨大な古代人ピクルが武蔵の対戦相手として控えているが、フィジカル面では彼らに遠く及ばない本部が、どこまで意地を貫くことができるだろうか。