新刊コミック案内

鉄板の人気コミック、知る人ぞ知るディープなコミックの新刊を、3分で読めるシンプルな文章で紹介します

島本和彦『アオイホノオ 16』

 

『アオイホノオ』は、島本和彦の自伝的青春漫画である。ストーリーには、かなりの誇張や演出があるものの、庵野秀明や岡田斗司夫、矢野健太郎といった実在の有名人が登場し、成功してからの島本の生活を描いた『吠えろペン』よりは、実話に近く、多くの伝説的なエピソードも取り上げられている。

晴れて、『必殺の転校生』で増刊少年サンデーからデビューすることとなった炎燃(ホノオ モユル)は、いよいよプロの漫画家の道を歩み出す。だが、トントン拍子で話が進みすぎるために、ホノオは自分を潰す陰謀ではないかといぶかったりする。それまで強気で攻めてきたホノオだが、次第に自分が漫画家としてまだ準備不足であることに気づくのである。しかし、そんなことにはおかまいなく、次々に編集者は話を進めてゆく。

曰く、原作付きで連載をしないか、曰く、ガンダムを描かないか、そしてついに名前の出た大物の名前は、雁屋哲。当時すでに『男組』や『男大空』をヒットさせていた巨匠だ。

次々に押し付けられる無理難題を前に、ホノオはどう出るのか。

よもや、尻尾を巻いて逃げ出すなどということは…


実話ベースだから、Wikipediaで島本和彦の項を調べると、先の展開はだいたい読めてしまうのだが、それは隠し味のお約束ということで。